銀の犬

銀の犬

ケルト民話を下敷きにしたファンタジー光原百合といえば日常生活の謎という印象だが、この連作短編集にもミステリテイストが効いている。むしろこっちのほうが上手いかも。

声をなくした祓いの楽人オシアンと連れのブランがさまざまな依頼を受け、迷った魂を逝かせるというパターン。なぜ悪霊は歌の続きが作れないのか、呪いと愛情で2重に縛り付けられていたはずの犬がなぜ女主人を襲ったのか、などが解き明かされていく。

その「銀の犬」だが、ロボット3原則はないのか気になった。

またはじめて人を愛した妖精ガンコナーの話は、わたしが「しゃばけ」シリーズの最初で感じたもどかしさ、妖はどこが人と違うのかを見事に描いていると思う。

ギド1が、ブランについてある指摘をしたのだが、読み返してみると確かにそうかもしれない。それが当たっているかどうか、これから語られるだろうオシアンのストーリーとともに、楽しみに待つことにする。