砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

イヤな、そして痛い物語だ。
父を亡くしてひきこもりの兄とパート勤めの母との暮らし。高校には行けそうにない状況の中でヒロインは「実弾」を欲しがる。現実に突き刺さる実弾を。

元ミュージシャンの娘として転校してきた美少女・藻屑は不思議ちゃんぶり全開。
なぜか自分に興味を持たないヒロインに近づいてくる。砂糖菓子の弾丸を撃ちまくりながら。

藻屑の運命は最初から分かっているが、担任の言葉と、ここの事件に出会ってついに現実を直視した兄の成長がせめてもの救いだろうか。

しかし、なざき。最初に見たんだろ? 人魚姫の「汚染を」。彼女が脚を引きずってしか歩けないのを。あんなだって砂糖菓子のファインダーごしに見てたんじゃないのか?

ところで、ひっきーの兄が通販でしょーもないものを買って父親の生命保険を使い果たしたということになっていて、カードが使えない彼が何万も現金で払っているシーンがあるのだけど、これっていくらなんでもないだろう。ヒッキーの原因が家族にあって負い目があるというのでもない限り。ネットもやり放題だし。